KY活動の記入例|建設現場の8例と書き方
KY活動票に「周囲確認」「転倒注意」と書いたものの、今日の作業で何をするのかが伝わらない。毎朝同じ文面になり、話し合いも短い唱和だけで終わってしまう。そんなときは、新しい標語を探すより、作業する場所・人・機械・順番の変化を具体的に記録することが出発点になります。建設現場の職長・現場責任者に向けて、当日の条件へ置き換えて使える8つの記入例と、確認までつながる書き方を整理します。
この記事の結論
- KY活動の記入は「今日の作業・場所」「危険が起きる状況と結果」「具体的な対策」「担当者と確認時点」をつなげます。『気をつける』だけで終わらず、作業前に何が整っているべきかを書きます。
- 記入例は当日の現場に置き換えるためのたたき台です。紙の完成ではなく、作業者が理解し、決めた対策が実施されていることまで確認します。
- 同じ作業なら危険の内容が同じ日もあります。無理に別のネタへ変えず、人員、動線、機械、天候、他業者との作業の重なりを見直します。
- KYは作業計画、リスクアセスメント、設備上の安全措置を置き換えるものではありません。班だけで解決できない問題は責任者へ上げ、安全条件が整うまで対象作業を開始しないことが大切です。

作業前に現場の状況を共有するイメージ(AI生成)。グリーンクロスの顧客事例や実際のKY活動を撮影した写真ではありません。
KY活動票は「状況→危険→対策→確認」の順で書く
書き始めるときは、事故の種類を一語で挙げるだけでなく、どこで、誰が何をすると、何により、どうなるかを短い文章にします。そのうえで、危険を減らす対策と、誰がいつ確かめるかを対応させます。会社や元請の指定様式がある場合は、その欄に当てはめてください。
| 記入する項目 | 記入例 |
|---|---|
| 今日の作業・場所 | 南側ゲートから資材搬入。午前中にトラックが荷下ろし位置へ後退する。 |
| 危険のポイント | 仮置き材で歩行者が見えにくく、通路へ入ったトラックと作業者が接触する。 |
| 対策 | 搬入前に仮置き材を移し、車両経路と歩行者通路を分離。誘導位置と合図を運転者・誘導者で確認する。 |
| 行動目標 | 誘導者の位置・合図が確認できないときは、運転者は車両を止める。 |
| 担当・確認 | 当日の担当者名を記入。搬入前に職長が通路の分離と、誘導者・運転者間の打合せを確認する。 |
「誰が」は役職だけでなく、その日の担当者が分かる形にします。「確認」はチェック欄に丸を付ける前に、区画・設備・連絡方法などの現物や実際の状態を確かめます。担当が未定、必要な対策が未実施と分かった場合は、そのまま開始せず現場責任者に連絡します。
建設現場で使うKY活動の記入例8選
初めて入場する人には、当日のKYに加え、現場固有の通路・立入制限・連絡先などを作業開始前に説明します。新規入場者教育の内容と資料・記録の作り方も確認し、その現場のルールを共有してください。
以下は書き方を示すために作成した仮想例です。実際の災害報告や、作業手順をすべて網羅した安全指示ではありません。施工計画・作業手順・必要な資格や設備上の措置を確認し、現場の条件に合う表現へ書き換えて使ってください。
1.資材搬入・車両の後退
- 危険のポイント:搬入口の仮置き材で見通しが悪く、後退車両と通路へ出た作業者が接触する。
- 対策の記入例:見通しを妨げる物を移し、車両と歩行者の経路を分ける。誘導者の安全な立ち位置、合図、運転者が見失ったときの停止を打合せする。
- 行動目標・確認:誘導の確認ができなければ停止する。搬入前に職長が動線を確認し、当日の運転者・誘導者にも変更点を伝える。
2.バックホウなど重機の旋回
- 危険のポイント:重機付近の資材を取りに入った作業者が、旋回する機体と接触する。
- 対策の記入例:資材の仮置き場所と取り出す時間を変更し、稼働範囲へ人が入らない計画にする。立入禁止範囲と周知方法を現場条件に合わせて決める。
- 行動目標・確認:稼働範囲へ入る必要が生じたら、合図だけで近づかず、運転者と停止・安全確認の手順を実行する。職長は始業時と移設時に区画を確認する。
厚生労働省の重機接触災害事例でも、作業範囲への立入りを防ぐ措置などが対策として挙げられています。誘導者を置く場合は、その人自身が挟まれない場所を確保することも必要です。機械の種類や作業計画に応じた措置を、『周囲確認』という一語で済ませないようにします。
3.通路を使った資材運搬
- 危険のポイント:荷物で足元が見えず、通路を横切るケーブルにつまずいて転倒する。
- 対策の記入例:運搬前に通路の障害物を除き、ケーブル経路を変更する。荷の大きさ・重量・経路に合った運搬方法と補助具を選び、無理な一人運搬を避ける。
- 行動目標・確認:経路を確認してから運搬する。担当者が始業時に通路を確認し、荷姿や経路が変わったときは運搬方法を見直す。
4.足場上での作業と下部への落下物
- 危険のポイント:足場上の工具や部材が落下し、下を通る別業者の作業者に当たる。
- 対策の記入例:上下で同時に作業・通行しない工程と動線を調整する。足場の必要な落下・墜落防止設備を確認し、工具や資材の保持・置き方を作業手順に合わせる。
- 行動目標・確認:下部の立入管理と必要設備が整うまで着手しない。職長間で作業時間を共有し、担当者が開始前と作業変更時に確認する。
5.床の開口部付近での作業
- 危険のポイント:搬入のため開口部の覆いが外され、そこへ接近した作業者が墜落する。
- 対策の記入例:開口部への接近を避ける作業方法を検討し、囲い・手すり・覆いなど必要な墜落防止措置を確保する。臨時に取り外す作業は責任者と手順・代替措置・復旧担当を決める。
- 行動目標・確認:覆い等の取り外しや復旧不良を見つけたら接近せず報告する。責任者は措置の実施と復旧を確認してから周辺作業を再開させる。
6.夜間作業・照明の移設
- 危険のポイント:資材を追加したことで通路が照明の影に入り、段差が見えず転倒する。
- 対策の記入例:不要な段差や障害物を取り除き、作業面と通路に必要な照明を確保する。照明の向き・位置を調整し、配線による新たなつまずきも防ぐ。
- 行動目標・確認:配置変更後は通路と作業面を確認してから使用する。担当者が暗がり・まぶしさ・必要照度を確認し、不足箇所は使用前に対策する。
7.雨上がりの通路・作業場所
- 危険のポイント:通路へ泥が流れ込み、濡れた路面で足を滑らせて転倒する。
- 対策の記入例:排水や清掃を行い、滑りにくい通路を確保する。状態を確認できない場所は通行させず、代替経路を周知する。
- 行動目標・確認:雨がやんだことだけで再開せず、担当者が通路の状態を確認する。地盤・斜面・足場なども雨の影響を受ける場合は、必要な点検と現場の再開基準を別途確認する。
8.別業者との近接作業・午後の工程変更
- 危険のポイント:午後に別業者の資材搬入が加わり、朝に決めた歩行者通路が車両経路と重なる。
- 対策の記入例:職長間で搬入時間と通路を調整し、作業を重ねない時間帯や代替経路を決める。変更後の区画と連絡方法を関係する班へ共有する。
- 行動目標・確認:変更が伝わるまで対象作業を開始しない。取りまとめる担当者が各班の理解と現物を確認し、KY記録へ変更時刻と内容を追記する。
「注意する」で終わる記入を、具体的な行動へ変える
KY票の言葉が短くても、現場で同じ状況を思い浮かべられれば役立ちます。逆に、長い文章でも担当者や実施内容が分からなければ確認できません。次のように対象・場所・行動を補い、対策を実施する人と確認する人を決めます。
| これだけでは伝わりにくい | 具体化の方向 |
|---|---|
| 周囲確認 | どの機械の、どの範囲に人が入らない状態をつくるか。誰がいつ確認するか。 |
| 足元注意 | どの通路の、どの障害物を除くか。除去できない場合の経路をどうするか。 |
| 声掛け徹底 | 誰と誰が、何を合図し、返答がない場合にどう止めるか。 |
| 保護具着用 | 必要な保護具に加え、危険を除く作業方法や防護設備を先に確保できるか。 |
| 整理整頓 | 今日使う通路と仮置き場所を指定し、作業前・変更後の確認担当を決める。 |
対策を『注意する人を増やす』ことだけに限定しないことも大切です。厚生労働省のリスクアセスメント解説では、法定事項を実施したうえで、危険な作業の廃止・変更、設備による対策、管理上の対策、保護具の順で検討します。KYでも、危険のある場所へ行かなくて済む方法や、人と機械を分ける方法から考えましょう。
KY・KYT・リスクアセスメントの違いを押さえる
計画段階で危険を評価し、設備や用品の対策を決める手順は、建設業のリスクアセスメントの書き方と記入例で解説しています。対策後の評価と残るリスクを、当日のKYへ引き継ぎましょう。
KYは危険予知を指します。実際の作業前にその日の危険と行動を確認する活動と、イラストや場面を使って危険を見つける力を高める訓練(KYT)は、関連しながらも目的が異なります。朝礼で全体の連絡を聞くだけで、各班の作業に固有の危険まで確認できたとは限りません。
| 活動 | 主な役割 | 残す・共有する内容 |
|---|---|---|
| KY活動 | 当日の作業条件から危険と具体的な行動を確認 | 今日の危険、対策、行動目標、担当と確認結果 |
| KYT(危険予知訓練) | 場面を使い、危険を発見・解決する力を高める | 危険の捉え方、対策を考える過程、チームの目標 |
| リスクアセスメント | 危険性・有害性を調べ、程度を評価して低減措置を検討 | リスクの評価、優先順位、実施する措置と残るリスク |
中災防のKYT基礎4ラウンド法は、①危険を挙げる、②重要な危険を絞る、③具体的な対策を考える、④実践する行動目標を決める、という流れです。単に4つの欄を埋めることではなく、チームで共有して合意する過程を大切にします。
厚生労働省の建設業向け資料では、工事の計画段階で行うリスクアセスメントと、当日の作業前に行動目標を決めるKY活動の違いが説明されています。計画で低減したリスクと残された注意点を当日のKYへつなぎ、現場で新たな危険が見つかったら計画・手順の見直しへ戻します。
毎日同じ内容になるときは「昨日との差」を聞く
同じ危険が続くこと自体は問題ではありません。昨日と同じ文章を、今日の状況を見ずに転記することが問題です。職長は『ほかに何かありますか』だけで終えず、変化した場所や時間帯を答えやすい質問にします。

- 人:初めてこの作業に入る人、途中から合流する人に、どの変更を伝えるか。
- 場所:昨日より狭くなった通路、移った仮置き材、見えにくくなった場所はどこか。
- 機械・道具:機種、取り付け品、配線、使用方法に変更はないか。
- 時間・工程:午後に加わる搬入や、他業者と重なる作業は何か。
- 環境:雨、風、暑さ、日没などで、どの作業条件が変わるか。
- 実施結果:昨日決めた対策は実際にできたか。できなかった理由は何か。
『昨日と同じ』という答えには、同じと確認した対象を一つ足してもらいます。例えば『搬入経路は昨日と同じで、通路へはみ出した資材はありません』なら確認内容が分かります。逆に新しい危険が見つかったときは、過去の記入例の言葉を優先せず、当日の条件を記録します。
写真を使う場合は、撮影時刻と現状の違いを確認します。前日の写真では、今朝移動した資材や新しく開いた開口部が写っていないかもしれません。若手や日本語に不慣れな作業者には、場所を指し示しながら、どこを通るか・どこへ入らないかを本人の言葉や動作でも確認します。
朝礼後から作業中まで、決めた対策を確認する
現場全体の連絡を受けたら、班の作業に当てはめて、対策の実施まで確認します。長さだけを目標にせず、作業者全員に変更点が伝わっているかを確かめることが大切です。次は現場の手順に組み込むための進め方の例です。
- 作業前:本日の作業範囲、人数、機械、工程の重なりを共有する。作業手順と前日からの変更を照合する。
- 話し合い:参加者から危険を挙げ、重点とする危険と実施する対策を決める。班だけで判断できないものは責任者へ確認する。
- 開始前の現物確認:担当者が区画・設備・通路・連絡方法などを確認する。未実施の対策があれば、対象作業の開始条件を整える。
- 変更時:機械、場所、天候、人員、工程が変わったら、その変更に関係する危険と対策を再確認し、関係者へ伝える。
- 作業後:実施できたこと、できなかったこと、ヒヤリとした場面を振り返り、次回の手順や配置の見直しへつなげる。
例えば雨上がりの再開や、午後だけ別の機械を使う作業では、朝の記録をそのまま有効と考えず、変化した条件に合わせて確認します。『誰に連絡するか』『何が整えば再開できるか』も決めると、担当者が不在のまま自己判断で進むことを防ぎやすくなります。
KY記録に残す項目と、職長の確認チェックリスト
指定様式がない場合は、次の項目を記録欄のたたき台にできます。これは全国共通の法定様式ではありません。元請・自社のルールに合わせ、提出先、確認者、保管方法、変更時の追記方法を決めてください。
| 記録欄 | 記入する内容 |
|---|---|
| 実施情報 | 日付・時刻・天候・現場名・作業場所・班名・参加者 |
| 作業と変化 | 今日の作業、使用機械、作業順序、昨日や計画からの変更 |
| 危険のポイント | 危険が起きる状況と、予想する災害・けがの結果 |
| 対策・行動目標 | 実施する措置、担当者、いつ確認するか、全員で守る行動 |
| 確認・未解決事項 | 実施確認者と結果、未実施事項、責任者への連絡と対応 |
| 変更・振り返り | 変更時刻、再確認した内容、周知先、次回へ引き継ぐ事項 |
- 危険の記述から、実際の場所と場面を想像できるか。
- 危険ごとに、対応する対策が書かれているか。
- 注意喚起だけでなく、危険を除く方法や設備による措置を検討したか。
- 担当者と確認時点が明確で、現物の状態を確認したか。
- 別業者や途中参加者に、変更点を伝える段取りがあるか。
- 解決していない事項と、作業を止める・再開する条件が共有されているか。
保存期間や提出の方法を、根拠なく一律に決めるのは避けます。工事の契約・発注者の指定・元請や自社の文書管理ルールを照合してください。個人名などを含む記録や現場写真は、社内で認められた保存先と共有範囲で管理します。
作業中の巡視で見つかった問題は、指摘と是正を別途追跡します。安全パトロール報告書の書き方で、写真・担当・期限を一件にまとめ、是正の完了確認までつなげる記入例を紹介しています。
KYで見つけた課題を、設備・用品・情報共有へつなげる
KYで『通路が分かりにくい』『作業場所が暗い』『変更した注意事項が伝わっていない』と分かったら、作業方法や工程を見直したうえで、区画、照明、掲示などの具体的な対策へ進みます。物品を追加するだけで解決したとせず、設置後も目的どおり機能しているか確認します。
グリーンクロスは安全用品の販売・レンタルに加え、危険予知を支援するD.D safe Aiをご案内しています。SOLIZE Ureka Technologyとの販売提携は2026年5月に公表されています。写真を使う支援ツールは検討を助ける選択肢ですが、写っていない範囲や当日の作業計画までは写真だけで判断できません。出力を現場の責任者が確認し、実際の対策へ結び付ける運用が前提です。
よくあるご質問
どこで、誰が何をすると、何により、どうなるかを具体的に書きます。例えば『接触注意』だけでなく、『資材で見通しが悪い搬入口で、後退車両と通路の作業者が接触する』のように、状況と結果をつなげます。
同じ作業なら危険が共通することはあります。人員、動線、機械、天候、作業の重なり、前日の対策結果を確認したうえで記録します。新しい表現を無理に探すより、今日も同じ条件かを現場で確かめることが大切です。
書き方のたたき台にはできますが、場所・作業・機械・人員・対策の担当と確認時点を当日の条件に置き換えてください。例文にない危険も洗い出し、指定様式や作業計画と照合します。
不要にはなりません。リスクアセスメントで危険の程度を評価し低減措置を検討することと、当日のKYで具体的な行動を確認することは役割が異なります。新たな危険や条件変更があれば計画や手順の見直しにもつなげます。
朝に決めた条件から変わった場合は、関係する危険と対策を再確認します。作業場所・機械・人員・工程・天候などの変更を把握し、対象作業の開始・再開前に関係者へ共有してください。
たたき台として利用する場合も、現場の条件、作業計画、必要な安全措置と照合して担当者が確認します。AIが危険をすべて見つけるとは限らず、出力だけで作業の安全性を判断しないでください。
