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現場運営・安全管理読了目安 約11分

建設業のリスクアセスメントの書き方|記入例と対策の決め方

『危険の欄が「転倒注意」だけになる』『対策を書いた後、評価点をどう下げればよいか分からない』。建設業のリスクアセスメントは、書類の採点を終えることより、どの危険を、誰が、いつまでに減らすかを決めることが大切です。現場責任者・職長・安全担当者に向け、記入の順序、評価の根拠、対策の実施確認を具体例で整理します。

この記事の結論

  • 作業を場面に分け、危険の原因と予想するけがを具体化し、リスクを見積もって対策の優先順位を決めます。実施後の確認と残るリスクまで記録します。
  • 評価方法・配点・対応区分は元請や自社の基準を確認します。対策を記入しただけで点数を下げず、何が変わるのかと、実施を確認した事実を残します。
  • 必要な法定措置を満たしたうえで、危険な作業をなくす・変える方法、設備による対策、管理上の対策、保護具の順に検討します。
  • D.D safe Aiは現場写真によるリスク検討とパトロール報告書作成を支援します。AIの提示内容は現地の条件と照合し、対策・用品の手配と人による確認につなげます。
建設業のリスクアセスメントの書き方|記入例と対策の決め方

作業前に現場の配置を確認するイメージ(AI生成)。実際の顧客現場・導入事例や、安全措置の完成形を示す写真ではありません。

リスクアセスメントは、KYの前に対策の優先順位を決める活動

リスクアセスメントでは、危険性・有害性を調べ、災害が起きた場合の重篤度と発生する可能性などからリスクを見積もります。その結果を使って、優先して行う対策を決めます。厚生労働省の解説は、対策の実施と記録まで含めて示しています。関係する作業者の意見も聞き、書類だけでは分からない作業条件を確かめます。

安全活動の使い分け(編集部整理)
活動主に確認すること次に渡す情報
リスクアセスメント計画する作業の危険、評価、優先して実施する対策作業計画・手順、設備や用品、残るリスク
当日のKY活動今日の作業条件と、各班が取る具体的な行動行動目標、変更点、開始前の確認事項
安全パトロール決めた対策が現場で実施・維持されているか指摘、是正担当、期限、再評価が必要な事項

建設業向けの厚生労働省掲載資料では、工事・施工の計画段階での検討が重視されています。資材の発注前に実施すれば、動線を分ける配置、必要な設備、工程の調整を計画へ反映できます。日々の伝え方はKY活動の記入例、是正の追跡は安全パトロール報告書の書き方で確認できます。

書く前に、作業・現場条件・評価基準をそろえる

最初に、元請・自社の指定様式と評価基準を確認します。足し算、掛け算、マトリクスなどの方法があり、違う基準の点数をそのまま比較することはできません。記入者だけで判断せず、誰が評価を確認し、誰が対策の実施を決めるかもそろえます。

  • 作業:準備・搬入・本作業・片付けに分け、場所、使用機械、作業姿勢、人数を確認する。
  • 現場条件:通路、資材置場、周囲の設備、他業者との作業の重なり、時間帯や天候の影響を確認する。
  • 資料:施工計画、作業手順、配置図、取扱説明書、現場写真、過去の災害・ヒヤリハットを用意する。
  • 判断基準:重篤度と可能性の定義、既存対策の扱い、優先度と対応ルール、確認・承認の担当をそろえる。

『資材運搬』だけでは範囲が広すぎます。『荷下ろし後、仮置場から作業場所へ台車で運ぶ』のように場面を絞ると、通路の段差、荷崩れ、他の車両との交差を分けて検討できます。記録番号を付け、同じ危険の評価・対策・確認結果を追える形にしましょう。

リスクアセスメントを、作業と危険を調べる、評価して対策を決める、実施して再確認する、の3段階で整理した図。
記入と現場確認の流れ。工程や配置が変わったら、関係する作業の検討へ戻ります。編集部作成。
図を大きく見る(別タブ)

危険の文章は、誰が・どの作業中に・何が原因で・どのようなけがをするかをつなげます。『足元注意』ではなく、『作業員が材料を運んで通路を歩く際、横断するホースにつまずき、転倒して腕を骨折するおそれがある』とすれば、ホースの経路と歩行条件の改善が検討できます。

記入例1:通路のホースにつまずく危険を、対策と確認まで書く

以下は書き方を説明する架空の記入例です。実在の現場や導入実績ではありません。平らな場内通路をホースが横断し、材料を持った作業員が通る場面を仮定しています。実際には周囲の段差、機械、開口部なども調べ、別の危険があれば行を分けて評価します。

リスクアセスメントの記入例:通路の横断ホース(仮定条件・編集部作成)
記入欄記載例
作業・場所・記録番号仮置場から作業場所への材料運搬/場内東側通路/RA-01
危険と予想する災害材料を持って歩く際、通路を横断するホースにつまずき、転倒して腕を骨折するおそれがある。
既存の対策と現状朝礼で注意喚起しているが、ホースの横断が残っている。通行時に足元が見えにくい。
措置前の見積もり重篤度S=2、可能性P=3、S×P=6。下記の説明用基準による仮定。
追加する対策設備担当と給水経路を見直し、ホースが通路を横断しない配置へ変更する。新しい経路の出入口・作業・設備への影響も確認する。
実施担当・期限給水設備担当:次回の材料運搬を始める前まで。職長が配置変更後に現物確認する。
措置後の予測横断が解消し、新たなつまずき要因を作らない条件なら、S=2、P=1、S×P=2と予測する。未実施の間は完了扱いにしない。
実施後の記録欄実施日・確認者・配置写真・横断解消の確認結果・再評価を記入する。残る段差や資材のはみ出しは別途記録する。

点数は、危険の理由を話し合うために使う

この例だけの説明用基準として、Sは『1:軽いけが、2:骨折など休業を伴い得るけが、3:死亡・重い後遺障害につながるけが』、Pは『1:発生しにくい、2:発生する可能性がある、3:発生しやすい』の3段階と仮定しています。全国共通の基準や、作業開始の許可基準ではありません。実務では、判断が人によってぶれないよう、元請・自社が定めた具体的な定義と照合します。

仮定の評価例。措置前は重篤度2かける可能性3で6、措置後の予測は重篤度2かける可能性1で2。実施前の予測と実施後の再評価を分ける。
説明用の仮定。点数・低下幅は現場の評価結果や安全の保証ではありません。実施後に条件を確認して再評価します。編集部作成。
図を大きく見る(別タブ)

この例では、つまずく機会を減らすためPを下げる想定にし、転倒した場合のけがの重さSは下げていません。『対策したから両方を1点』とするのではなく、変わった条件に対応する要素を見直します。予測どおりにならなければ追加対策を検討し、残るリスクを作業者へ伝えます。

対策は「なくす・設備で減らす・管理する・保護する」の順で検討

厚生労働省の解説では、必要な法定事項を実施したうえで、危険の除去・低減、設備による措置、管理上の措置、個人用保護具という優先順位が示されています。『声掛けを増やす』『表示を追加する』だけで終えず、その危険に近づかなくて済む方法から検討しましょう。

酸素欠乏・有害ガスのおそれがある作業では、測定と換気、監視・緊急時の体制も具体化します。機器を手配する際は、ガス検知器の対象ガス・測定方式と見積もり条件を確認してください。

必要な法定措置を前提に、危険な作業をなくす・変える、設備で減らす、手順で管理する、保護具を使う、の順で対策を検討する図。
上の対策から検討し、必要な対策を組み合わせます。下位の対策だけで上位の対策を省略するための図ではありません。編集部作成。
図を大きく見る(別タブ)

記入例2:重機の作業範囲と、人の通路が重なる

  • 危険の記述例:掘削中、資材置場へ向かう作業員が重機の作業範囲へ入り、旋回する車体と接触するおそれがある。
  • 対策の検討例:資材置場と通路を変更して重なる動線をなくす。現場条件に応じた立入管理、区画、誘導・合図の方法を作業計画へ反映する。
  • 確認の記述例:職長と機械担当者が、使用機械の作業範囲と実際の通路・出入口を作業前に照合する。搬入時に区画を開ける場合の管理者と復旧確認も決める。
  • 再評価で見る点:他業者の通行や臨時の搬入を含め、接触する可能性がどう変わったか。接触時の重大性を、区画したという理由だけで下げない。

接近警報装置を追加する場合は、検知対象、範囲、死角、警報先、日常点検を確認します。警報が出ることと機械が停止することは別です。具体的な選び方は重機接触防止センサーの比較と見積もり条件にまとめています。バリケードも、車両衝突を止める性能があるとは限らないため、区画と防護の役割を区別します。

記入例3:台車で運ぶ資材が、曲がり角で崩れる

  • 危険の記述例:仮置場から台車で箱物資材を運ぶ際、曲がり角の段差で荷が傾き、近くの作業員の足に落下するおそれがある。
  • 対策の検討例:仮置場を移して運搬距離を短くできないか検討する。運搬物に適合する機材、積み方・固定方法、段差を避ける経路を確認し、周囲の作業と調整する。
  • 担当・確認の記述例:搬入担当が資材の寸法・重量と台車の取扱条件を照合し、職長が運搬開始前に経路と荷の状態を確認する。
  • 再評価で見る点:荷が傾く原因と、他の作業者が近づく条件が減ったか。品目や数量が変わる場合の再確認を手順に入れる。

例2・例3は、記入する視点を示すための架空例です。必要な安全措置を網羅した作業手順書ではなく、評価点も現場で決めます。実際の機械・荷物・設備・適用法令を確認して具体化してください。

実施後の確認と、工程変更時の見直しを残す

『設置する予定』『設置した』『機能と残る危険を確認した』は異なる状態です。対策を記入した日と実施日、確認日を分けると、未対応事項を追いやすくなります。厚生労働省の研修資料でも、対策後の再見積もりと、追加措置の必要性の確認が説明されています。

対策を現場へ反映するための確認欄(編集部作成)
時点残す内容未確認のときの対応
対策を決めたとき実施内容、担当者、期限、必要な資材、措置後の予測手配先と未確定条件を明示する
実施したとき実施日、変更した場所、写真・図面、計画との差予定と異なる施工・配置を責任者へ確認する
再評価したとき確認者、効果、新たな危険、残るリスク、周知先追加措置と対象作業の取扱いを決める
条件が変わったとき工程・機械・材料・動線等の変更、見直した項目関係する評価と手順を更新し、作業者へ共有する

元請と協力会社で作業が重なる場所は、自分の班だけの改善で終えないことが大切です。例えばホースを移した先が別業者の出入口だった場合、危険を移しただけになりかねません。変更後の配置を共有し、影響を受ける担当者と確認します。

近隣の一般歩行者への危険を検討する際は、場内通路と分けて、工事現場の歩行者通路の計画・点検を確認してください。通行者、必要な有効幅、車両出入口、夜間・雨天の条件から対策を具体化できます。

ヒヤリハットや巡視で新しい危険が見つかったときも、該当する評価へ戻ります。記録番号でヒヤリハット報告や是正記録を関連付けると、なぜ手順を変えたのかが後から分かります。保存先・保管期間・版の更新方法は、適用要件と元請・自社の文書管理ルールを確認してください。

D.D safe Aiは、写真からのリスク検討と報告を支援する

グリーンクロスと開発元SOLIZE Ureka Technologyの公式発表では、D.D safe Aiは現場の状況や画像をもとに潜在的な危険要因を提示し、リスク検討とパトロール報告書作成を支援するアプリとされています。写真を検討材料にし、担当者同士で危険の見方をすり合わせたい場面で活用を検討できます。

現場事務所の机に、白紙のノート、タブレット、ヘルメットを置いた記録準備のイメージ。
記録を準備するイメージ(AI生成)。D.D safe Aiの操作画面・対応端末・提供品を示す写真ではありません。
  1. 安全な場所から撮った写真と、実施する作業・機械・動線などの条件を用意する。
  2. AIが提示した危険の候補を、職長・作業者の知識と現地確認で照合する。
  3. 写真に写らない条件を補い、自社の評価基準に沿って対策・担当・期限を決める。
  4. 実施した対策を現場で確認し、記録・報告と次の作業前の共有につなげる。

これは現場業務に組み込む運用例です。写真にない機械の動き、地中埋設物、部材の耐荷重、化学物質の濃度、当日の作業計画などを写真だけで確定することはできません。AI出力は確認の手掛かりとして扱い、最終的な安全指示と対策は現場の管理者が判断します。

導入相談では、現在のリスクアセスメント表と報告書、掲載が許可された写真、利用人数・現場数を用意します。指定様式への出力、配点の設定、既存システムとの連携、利用端末・通信条件は、必要な要件として確認してください。すべての帳票にそのまま対応する、自動で作業許可まで行う、といった機能を前提にしないことが大切です。

決めた対策を、用品の数量・期間・見積もり条件へ落とし込む

『安全対策一式』という依頼に、対策したい危険と設置場所を加えると、必要な仕様を相談しやすくなります。グリーンクロスの公式商品情報ではバリケードや安全掲示板などの取扱いを確認できます。具体的な構成、販売・レンタルの可否、料金・在庫・納期は個別に確認します。

対策の目的から整理する相談項目
目的相談する用品・サービス伝える現場条件
人と機械の動線を分けるバリケード・フェンス・案内表示配置図、区画する長さ、出入口、路面、移設の頻度
接近を知らせる補助対策を加える検知・警報機器対象の機械・人、範囲、取付条件、電源、警報を受ける人
作業ルール・変更点を共有する安全掲示板・表示用品掲示内容、設置場所、寸法、更新方法、設置期間
写真を使う検討・記録を支援するD.D safe Ai利用人数・現場数、現在の帳票、端末、通信、導入希望時期

見積もりには、現場所在地、用途、数量、使用開始日・期間、搬入・設置の希望を添えます。数量未定なら、区画する範囲や出入口が分かる図を用意してください。本体だけでなく、脚・接続部材・固定方法、電源や通信、設置撤去の範囲もそろえて比較します。リスクアセスメントの評価と対策決定は現場側で行い、必要な用品・サービスの条件をグリーンクロスへ相談できます。

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